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2010年8月28日 (土)

別れは新たな旅立ち

矢野はドイツ挑戦!フライブルクと交渉で渡独へ スポニチ

矢野 移籍交渉でドイツ入り“成り上がり”宣言 スポニチ

まさか、その日にふたつの別れに直面するとは、思ってもみなかった。まさに青天の霹靂。

一つ目の別れは前の記事、アニメ監督今敏監督の急逝・・・・

そして、同じ日の夕方に舞い込んだ、矢野一次離脱での渡欧の知らせ・・・

その時は一次離脱という形でのお知らせでしたが、ほぼ契約まとまっているのだろうなってのが分かる状況。

今度のオファーはドイツ一部からの完全移籍オファー。

どうやら、アルビと矢野の間の契約では、「海外オファーの場合、移籍金なし」という障害にならないような条項がもりこまれていたようです。

チームにとってはとても痛い、離脱になるのはだれの目にも明らか。そして、彼の姿を目の前のピッチで見れなくなるのがとても残念なこともまた明らか。

だけど・・・

今回の移籍について、気持ちよい心で送り出したいっていうのが本音な所。

昨年の夏にも矢野の所には、海外からのオファー(ドイツ2部)、また、海外トライアウトへの参加など矢野自身が海外移籍を模索した事実があります。

そのときは、クラブ側の説得(新潟の選手としてW杯へ等)、そして1年後に迫っていた南アフリカW杯などが重なって、矢野はアルビへの残留を決めました。

その経緯はサポの中では周知の事実であって、しかもこの夏の南アフリカでのW杯の日本代表選出と出場。その後のロシアからのオファーなどあって、矢野を世界に送りだそうという機運は高まっていました。

しかし、ロシアからのオファーを断り、チームへの残留を決めかけていた状況。

おいらの中では、W杯を見ていたなかで、「矢野は世界に行かなければならない」と切実に感じておりました。それは大会だけではなく、日本代表の中でも、主力にいるのはみんな、海外組。その成長の著しさに驚嘆の目を向けていました。
しかし、チームへの残留が決まりかけ、おいらは憤慨もしていたのですが、そのうち、安堵が心を支配しかけました。

「矢野はまだアルビの選手でいてくれる」

そんな気持ちでした。そして、今回のオファーによる海外移籍騒動。正式契約はされていませんが、あとはハンコを押すだけまで交渉は進んでいるでしょう。ほぼ移籍は決まりなのです。

「信じてたのに・・・」

という気持ちにはなりませんでした。たしかに移籍を考えれば痛いのは明確で。来季ACLへの出場も狙える順位にいるいま、ここまで、主力のFWの離脱は痛いわけがありません。ただ、矢野にもっとうまくなってもらいたい、矢野にもっと活躍してほしいと思う気持ちが移籍を悲しむ気持ちを凌駕しているので。

「応援したい。世界で活躍してほしい。もっと上手くなってほしい」

この気持ちがほんとうに胸の中がいっぱいです。

アルビのマスコットは白鳥がモチーフです。一部(大半?)ではアヒルなどともいわれていますが、矢野はこの新潟で大きく成長し、ドイツへ大きく羽ばたいていく、真っ白い白鳥のようです。ぜひ、ドイツでも、もっと、羽を大きく成長してほしい。

矢野がアルビに居た、4年半。当時、J2に降格の憂き目にあった、柏からDF永田と一緒に移籍してきた、矢野。その当時のネームバリューから言えば、どちらかというとDF永田のほうが期待されていました。たしかに、ユース年代での代表に選ばれることはありましたが、実力がまだまだ備わっていない若手の扱い。

そして、彼はアルビの一番前、FWでのスタメンを勝ち取り、アルビでのサッカー人生を走りはじめます。ただ、やはり、まだまだ原石に近かったので、目に見える貢献、つまり得点を奪うことに関して言えば、あまりにも非力だった。

まあ、チーム力のことを考えれば、仕方のないことだったかもしれませんが、ただ、矢野が相棒を組む、歴代の助っ人FWはシーズン通してのその役割(得点)をこなし、そしてチームに貢献した。それまでもずっと、FWとは点がとれなければ、仕事をしていないという感じ方が主流だった新潟。エジやら、アレッサンドロなど得点を奪ってチームに貢献した姿を見せつけられば、その相棒たる矢野の得点が伸びなかったことに対しては批判も大きかった。

しかも、矢野はうまさに欠けるプレイヤーでした。まあ、持ち味を考えれば、ダイナミックなプレーとその献身的な動き。うまさを売りにしたプレイヤーではなかったのですから。そんな所からも矢野への批判という形につながっていたのかもしれません。

ただ、前監督、鈴木淳氏(現大宮監督)、現監督の黒崎監督などの現場スタッフはその目に見える形での貢献が出来ない、矢野の起用を続けました。あそこで、誰かに変えることも簡単だったかもしれません。でも、変えませんでした。一種の意地のような・・・

ひたむきなプレー、そしてダイナミックなプレー。

得点を奪うことに関して言えば、ほかのFWがすぐれているのかもしれませんが(まあ、断言はできないけど)、その一分、一秒のプレーで矢野は走り続けました。

そんなプレーを見ていて、得点を奪えないこのFWをアルビでスタメンから外せという声は次第に聞こえなくなってきます。まあ、当時の全体の声を集約しているわけではないので、事実と反しているかもしれませんが、次第に外せない、欠くことのできない選手になっていったのは事実。

ピッチの端から端まで走り回り、DFラインでは守備をして、中盤ではプレスをかけ、前線ではつぶれ役として体を張る。

「FW=点を取る人」という考え方は、矢野のプレーを見るにつれ、変わっていきました。たしかに点を取ることは少ないけど、それ以外のことで目いっぱい貢献する。それが矢野がここまでアルビで愛された理由ではないでしょうか?

事実として、今期2010年シーズン、矢野の初得点はJ開幕から数えて、15試合目の鹿島戦。4か月以上たってのことでした。15試合連続ゴールなしっていうのは、スタメンはおろか、ベンチ外になってもいい、不出来っぷりですが、矢野を外すということはまったく考えがなかったと思います(厳密にいえば、批判はあったと思いますが(笑))

新潟は冬には多くの雪が降る地方です。あの寒い中、一心に耐えて、春を待つ、その忍耐精神みたいなのが、まだまだ心の奥底に眠っているようです。まあ、新潟県人の遺伝みたいなもの。
これが、矢野への支持につながっていたのかもしれません。その新潟県人の長年のイメージみたいなものと重なったということではないかとおいらは思っています。

今のサッカーで、FWのプレスと言うのはなくてはならないものです。極論になってしまうのですが、それの申し子が矢野貴章ではなかったかとおいらは思っています。

おいらは、この話の以前にこう思っていました。もともと、マルシオをアルビの王様として崇めていたのですが、最近のミシェウの好調っぷり、そしてマルシオのFKの炸裂っぷりに、

マルシオの「皇帝」に格上げ、で、ミシェウを「二代目の王様」に就任。

ということを思っておりました。(たしか、中国が皇帝が上で王様がその下っていう考えだったのを思い出して)
で、それで考えるとほかの選手は?と思って、最初に浮かんだのが「矢野は天皇」。つまり、アルビの象徴だと思っていたのです。その献身的なプレーは、この新潟に居を構えるアルビというチームを体現してくれる選手だと思っていた。

そういうことから、アルビでの矢野は愛されていたのだと思っています。まあ、この話はおいらの中でしか完結してないけどね。

選手としてもそうですが、チームにとってもこの選手がいたということはすごく重要だったような気がします。チームとして、まだ大きな柱がなかった、新興チームだったのですが、矢野のおかげで、こういうコンセプトのサッカーというか、選手に求める偶像だったり、チームの根幹を決定づけるのによかったのかと。つまり、ひたむきにひたむきに頑張る。たとえすぐに結果に出なくても、いつか結果がでるから頑張る。もう、スポコンだったら涙もの。薄幸の美女なりに健気な感じがします。

アルビの強化部は優良、助っ人を獲得できると有名ですが、こうして考えると、日本人でもすばらしい選手を獲得できていたのだなと思います。

ながなが書いてきましたが、矢野の実力はアルビサポが一番知っているところで、どこに出しても恥ずかしくないようなサッカー選手です。是が非でもドイツで頑張ってほしいなと思っています。

着るユニフォームや活躍する場所が違ったり、遠くなったりしますけど、矢野はいまでもアルビの選手だと思っていますし、いつまでも大好きな選手であることは間違いありません。ぜひ、ドイツでも頑張ってほしい。活躍してほしい。そして、毎週、速報と入ってくる欧州サッカー情報などでアルビサポをほくほくさせてほしいと思います。

まあ、願わくば、いつの日にか新潟に帰ってきてほしいなと思っています。それが出来るなら。もう一度、彼の姿をあのオレンジのユニの彼の姿をもう一度見たいと思います。

PS 
記事は中は正式決定していなかったようですが、現在進行形では正式決定したようです。送り出したいと思っていたのですが、やはり移籍は悲しいですけど。涙は心で流して、笑顔で送り出したいと思っています。

行ってこい!!!矢野貴章!!!!

矢野がフライブルクと合意 周囲の期待大 スポニチ

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